食べ物の好き嫌い(偏食)を克服すると人生が豊かになります

食べ物の好き嫌い(偏食)を克服すると人生が豊かになります。

偏食があるあなたへ、「好き嫌いは直せますよ」。

偏食(食べ物の好き嫌い)は、必要とする栄養素に偏りがある食事の状態です。

これは乳幼児・小児期・学童期では、しばしば話題になり、育児に懸命なお母さんの悩みのたねになっていますね。

また、成人してからの偏食は、社会的な生活にも影響を与えます。

私たちの身体が、栄養素を取り入れること(食事)によって成り立っているのは間違いがありません。

必要な栄養素を摂取しないと、将来、健全な成長の遅延が起こり、生活習慣病になってしまいます。

まずは、どのように好き嫌いが生じるのかを理解することが必要ですね。

好き嫌いのメカニズム

食べ物への好き嫌いを考える上で、その入口である、私たちの味覚がどのようなものなのかを知る必要があります。

味覚について

一般的に、味には「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「旨味」という5つの基本味があります。

私たちは、舌や軟口蓋にある食べ物の味を感じる小さな器官である味蕾(みらい)によって味を感じます。

味蕾にある味細胞が食品の味の成分を感知し、その刺激が神経を介して脳に伝わることで、私たちは味を感じているのです。

つまり、食品の味の多くは、この中のどれか1つ、あるいは複数の味が組み合わさった形で感じています。

この時、甘味はエネルギー源、塩味は、ミネラル(無機塩類)、酸味は腐ったもの、苦味は毒、うま味はタンパク質の存在を知らせる刺激となっています。

味覚経験が不十分の人は、酸味の料理を食べ物が腐っているという感じを、ゴーヤを食べると毒のような刺激を受けとるわけです。

さらに、私たちが美味しさを感じる時、味の5つの基本形だけでは説明できません。

つまり、味の5要素だけで、本当の味覚は決まらないのです。

風邪を引いて鼻が詰まった時など、食べるものがいつもと違うことを経験したことがあるでしょう。

味覚の他に、視覚、聴覚、触覚、嗅覚の5つの感覚を「五感」と呼びますが、美味しさを感じる時、この五感が「風味」といわれる味わいを作り出します。

この風味を味わうことのできる喜びが、好き嫌いから抜け出せる鍵になります。

この風味が味わえない情況、つまり、ある期間、持続的な味覚の失調になることを味覚障害(味覚減退・味覚消失・無味症・異味症)といいます。

その原因となるものには、亜鉛不足、薬剤の服用、口腔疾患、神経疾患、加齢、喫煙、口の乾き、ストレスなど、様々なことが考えられます。

食品成分としての亜鉛は、味細胞の新陳代謝に必須となる栄養素で、不足すると、味を感じる能力が低下してしまうと考えられています。

私は、5年前に、味覚障害と診断され、大学病院で2年間の診療をけて、味覚を取り戻した経験があります。
その時、嗅覚も低下していました。
完治して大好きなエビが以前の味になった時は、本当に嬉しかったです。

味を感じるためには、食品の栄養成分の必要な摂取と、味わう心を大切にすることです。

好き嫌いのメカニズム

人間の味の好みに関する発達は、母親の胎内にいるときから始まるといわれています。

胎児は、羊水を通じて、母親が摂取した食物の風味や匂いを感じて、生まれたあとも、母乳を通じて風味を感知します。

羊水や母乳を通した味覚の体験のあと、離乳期に初めて口にする固形食がどうであるかによって、食物の好き嫌いが決定づけられます。

母乳やミルクしか飲んでいなかった赤ちゃんが、新しい食べ物による味覚を経験することは不安や恐怖を生じます。

食べることによって、腹痛や下痢などの不快な思いをした場合、その食べたものに嫌悪感を持つでしょう。逆に、満足感が得られた時には、その食べ物を好きになる経験をします。

食べ物の好き嫌いは、後天的に得られる経験に大きく影響されることがわかります。

さらに、2歳頃に食べていたものは、多くの場合、大人になったあとも好きな食べ物になることがわかっています。

食の経験を重ねることが不安感を軽減するのです。

そうすると、好き嫌いを克服するには、料理を味わう経験(食の経験)を増やすことになりますね。

そのためにも、食品の栄養への理解が必要になってきます。

好き嫌いを直すために

私は田舎から都会に出てきた時はひどい偏食でした。
一人の下宿暮らしで、調理経験のない学生ですから、といって今のようにコンビや手軽に食べられるファミレスなどがない時代、極めて偏った食生活だったことを思い出します。

運よく、栄養学校に勤務したことで、仕事として昼食を食べること(検食と呼んでいます)で、無理やり強制された半年後には、あと少しの食品を除けば、いろいろな食品を食べることができ、味わうことができるようになっていました。

また、結婚して子供ができて、自分で料理を作るようになって、より食品や栄養・衛生に関する関心が強くなりました。

趣味の一つである、オートキャンプでは、料理に腕を振って、周りから喜ばれています。

そういう経験から、向上心の高いあなたには、食の経験を増やしてゆく努力をすれば、自分の気持ちを豊かにしてくれる新しい味覚に出会える、という楽しみを理解して欲しいです。

乳幼児・児童に対しての好き嫌いは、身体的に食べるための器官が未熟なことや幼児の生活行動もあるので、少しの配慮や見守る気持ちが必要です。機会があれば書きたいと思います。

味覚に対しては、私たちは保守的だといわれます。

しかし、新しい経験も臨む気持ちも持っています。

偏食のある方は、豊かな人生を送る方法の一つとしても、食べ物の好き嫌いを克服して下さい。

【参考文献】
・人体の構造と機能、医歯薬出版株式会社

・Wikipedia

・子どもの味覚【前編】食べ物の好き嫌いはどうして起こるのか?、ベネッセ教育情報サイト、https://benesse.jp/kyouiku/201212/20121213-2.html

近い将来、昆虫食が食卓に!

将来の私たちの食卓に昆虫が並ぶかもしない

 

都会の一部のレストランのメニューにのるほど、ブームなっている昆虫食ですが、その現状と将来を見てみましょう。

食糧問題と昆虫食

2050年、世界の人口は90億数千人になると推計されています。

そういう未来が来ることを考えると、予想されるのは「食糧問題」です。

2013年、国際連合食糧農業機関 (FAO) は、食糧や飼料としての昆虫の利用が、食糧問題の解決の一つの可能性となることを報告しました。

2010 年に出た資料には、食用昆虫のある種の栄養的価値が記載されています。

さらに、EU(ヨーロッパ28カ国加盟の連合)では、2018年1月1日からヨーロッパで昆虫食を含んだ「ノベルフードに関する規制」が施行されていくことになりました。

ヨーロッパでは、食糧に関しては、「ポジティブリスト」制が定められています。1997年までに人々に食べられていて、その歴史を認められている主な食材がリストに記載されています。

1997年以後の新しい食品については「ノベルフード」という正式な申請・認可を受けてヨーロッパ各国での販売が可能となります。

これまでのヨーロッパには、昆虫食の流通を認可する規制がありませんでした。

昆虫食がノベルフードの申請がされ、ベルギーやスイス・フランスなどの企業等から積極的な参加により徐々に認可される国が増えています。

アフリカ、アジア、ラテンアメリカなどの発展途上国では、牛肉、豚肉、魚、鶏肉などのたんぱく質源としての食材が十分に調達できないために、昆虫は通常の食生活の一部となっています。

ただ、先進国では、郷土食としての位置づけ以外では、心理的な障壁は大きく、受け入れることは難しい状態でした。

それが、将来の食糧危機を乗り越えるには、昆虫食を積極的に取り入れ生き延びるのに必要な栄養源を確保する事を、国連が勧めて勢いがつきました。

さらには、栄養問題、環境問題などの解決にもつながるのではないかと一部の人たちからは支持されています。

昆虫が食材として期待される理由

昆虫を食事として肯定的に捉える人たちの主張は以下のようです。

1.栄養価が高い。

多くの昆虫成分は、文献などから、栄養学的にみて、十分なエネルギー、たんぱく質、アミノ酸があり、低脂肪でCu、 Fe、Mg、Mn、P、Se、Znなどのミネラルなどの微量栄養素が豊富である。

2.飼料効率が高い。

コオロギの肉を1kg増やすために必要な飼料は豚肉と比較して1/4、牛肉と比較して1/12と少ないことが発表されています。昆虫は圧倒的に飼料コストがよいといわれています。また、牛や豚の可食部(食べられる部分)は40%とされていますが、コオロギは100%と、その全てを食べることができます。

3.飼育が簡単。

養殖に必要な水や土地も少なくて済みます。自宅の部屋の中で飼育することも可能になります。家畜の糞を餌として育てられる種類などもいます。

4.環境に優しい – – – – – 持続可能な食糧。

昆虫は養殖時にメタンガスや二酸化炭素などの温室効果ガスをほとんど出さないので環境に優しく、持続可能な食糧となる可能性が高いと言われています。

5.衛生的な調理方法で食する。

昆虫食は生で食べることはほとんどなく、加熱をして食べるので食中毒の危険性が少ない。

6.美味である。

イナゴやざざむし(トビゲラ・カワゲラ)は佃煮で、蜘蛛はチョコーレートの味、蟻はデザートに美味しく食べられるとか。

まとめると、

[昆虫が食材として期待される理由]には、
  1.栄養価が高い。
  2.飼料効率が高い。
  3.飼育が簡単。
  4.環境に優しい – – – – – 持続可能な食糧。
  5.衛生的な調理方法で食する。
  6.美味である。
ということになります。

しかし、これらに対して、違う見方もできます。

一つ々について、見てゆきましょう。

食材として昆虫食に対しての疑問点


1.栄養価の根拠が不明。
2.飼料効率を家畜と比較することは不自然
3.飼育が簡単であるとは言っても容易ではない。
4.「持続可能で環境に優しい」という意見に関しては、
 1)自然の生態系を攪乱する可能性も出てくる。
 2)育てるための餌となる生物を養殖したり、穀類を育てる必要がある。
 3)技術革新による既存の食材の開発に期待。
 4)広域的に販売する場合の問題。
 5)人の生産活動から出される二酸化炭素の方が圧倒的に多い。
 6)世界的な食糧難を克服するためには、国際的な商取引が必要になる。
 7)海洋資源などの無駄を考える。
5.衛生的な調理法で食するというの簡単ではない。
6.美味であるとはいうが、持続的な食事として受け入れられるのか。

具体的に見てゆきましょう。

1.栄養価が高い。

昆虫の栄養価に対しては、提示されているように「タンパク質が豊富で、他の栄養成分も良好である」というのは、調べた限り、公平で科学的な分析によるのかどうかはわかりません。根拠が不明です。

しかも、昆虫といっても種類も多く、その生育過程によっても違いがあることを考えると、総じて栄養価が高いという主張には疑問を感じます。

日本食品標準成分表にはイナゴ煮、蜂の子缶詰については、栄養価の記載がありますが、その他のものは、記載がありません。

人間の食品成分表と比較掲載しているものが多々ありますが、どのような状態で調べられたのかがはっきりせず、かなり大雑把すぎるように思えます。

2.飼料効率がよい。

確かに、飼料効率はよいとはいえるでしょうが、食糧危機が回避できるのなら、食べ慣れている家畜を食べる方が、栄養学的・衛生学的にもよいのであって、そもそも、牛・豚などと比較することが不自然であり、意味があるとは思えません。

3.飼育が簡単である。

この飼育という部分に関しても、家畜や家禽と同じ線上で考える必要はないと思います。

飼育に必要な面積も家畜に比べると狭くて大丈夫、自宅の部屋でも・・・。ただ、密集した状態で飼育すると好ましくない結果もあるということはわかっています。
狭い日本家屋の中では、臭いなど現実的には飼育できないでしょう。

さらに言えば、飼育する際の環境によって、昆虫によっては飼育が不可能な場合も出てくるはずです。

4.持続可能で環境にやさしい。

持続可能で環境に優しいというのは、昆虫食を支持する人たちの中でも環境保護を求める人が多いのも特徴です。

二酸化炭素の排出量だけを見て、持続可能なというのは乱暴な意見です。ここには、いろいろな問題が横たわっています。

1)昆虫食が持続可能な食糧源だという意見に関しては、野生の昆虫を捕獲することになり、乱獲につながる恐れが出てきます。そのために、自然の生態系を攪乱する可能性も出てきます。自然の生態系を撹乱することは、巡り回って人間への影響も出てきそうです。

2)また、食用の昆虫を養殖するとしても、養殖される昆虫には、育てるための餌が必要なわけで、餌となる生物や穀類も養殖しなければなりません。

こうした昆虫の餌は大半が栽培された穀物なので、昆虫を大量生産すれば餌である穀物も大量に必要となり、従来のタンパク源よりも持続可能性が高いとは言えなくなる可能性もでてきます。

3)技術革新による既存の食材の開発

岡山理科大学の山本俊政准教授が独自開発した「好適環境水」を用いた完全閉鎖循環式魚類養殖技術が世界的に注目されています。海の中での魚の養殖が、海から遠く離れた山の上でもできる技術です。

これにより、海の中で、ほぼ自然的に養殖するしかできなかった魚が、牛や豚などのように淡水の管理された環境で、魚を安全に計画的に飼育することができるようになりました。

また、魚類の大型化が実現されつつあります。
収量の増加によって、安定した食糧生産の可能性も高まってきました。

昆虫食を安易に導入する前に、今まで培ってきた畜肉・魚介類の養殖の技術をより向上させることにより、食べ慣れた食材から食糧難を乗り切ることはできないのでしょうか。

4)養殖した昆虫を消費者向けに販売するとなれば、その地域だけの消費では食糧問題は解決しません。

そうなれば、保存性を高めるための加工や、消費者の好みに合わせる手間が必要になります。当然、食品添加物の使用も増えてきます。

商業ベースに乗せるための大規模な生産を行うためには、かなりのエネルギーを消費することになります。製造・加工の工程には、環境保全のために負担すべきコストが伴なうものです。予見できない環境コストが発生する可能性も出てきそうです。

5)家畜が出す二酸化炭素などの問題よりも工業生産など、人の生産活動から出されるものの方が圧倒的に多いのではないでしょうか。

そういう部分を改善する努力の方が、環境負荷の軽減が大きく、昆虫食への移行よりも優先的な事項だと思います。

6)世界的な食糧難を克服するためには、国際的な商取引が必要になってきます。

そのためには、法整備が必要です。
日本は、EUや米国、カナダなどと有機農産物や有機農産加工食品の格付制度の同等性を認めています。
しかし昆虫食はJASの規格外であるため、このようなことができません。もし昆虫食を同様のものとするならば、JAS規格に入れる法整備が必要になってきます。

7)海洋資源などの無駄を考える

小さいとき、西洋人がが犬を飼うのは、防犯や狩りの手伝いのほかに、非常時には食糧にするためだが、日本人は、馬などの家畜と一緒の屋根の下で暮らし労働力としか使わず、犬はただかわいがるだけでしか飼わない、という話を聞きました。
動物を飼育することに対しての歴史的、文化的な背景は国や地域によって異なるという一例だと思います。

捕鯨の禁止が続く状態ですが、実際にどれだけの鯨が生息しているかの調査はそれほど進んでいないようです。
鯨が一日に食べる魚やプランクトンの量はすさまじいものです。
鯨は頭がよいから食べてはいけないとか、かわいそうだというのは根拠のない感情論です。それならば、犬や猫、猿を食べるのはかわいそうではないのでしょうか。
それぞれの国での食文化を尊重しないで、一方的な感情論で食材の無駄を認容するのは、自らの食糧難を見逃すことになります。

以上が、よく言われる「昆虫食が持続可能な食料源として有効だ」という意見に対しての一つの考えです。

5.衛生的な調理法で食する。

食の安全は、日本では、食品の生産から口元に入るまでは、食品衛生法によって規制されます。

食品衛生法に規定されるには、相当の項目について、非常に多くの昆虫に対しての科学的に根拠のある安全性(事実や実験による検証)が必要になります。

生での摂食の禁止、昆虫の種類・分量による加熱調理の標準化等の基準も必要に思われます。

昆虫食が導入されることになっても、これらを、短期間で定めることは不可能でしょう。

6.美味である。

これは個人の主観の問題なので、意見を言う気持ちはありませんが、人間は食べ物の味覚や嗜好に関しては保守的な動物です。だからこそ、種族を絶やさないでこれました。

好き嫌いの大部分は幼い頃の食体験だと言われています。さらに、成長期にも継続的に食べることができれば、その食べ物に嫌悪感を持ちません。

食体験が良好であり、その後もその食品を食べる機会が多ければ受け入れることもできますし、美味しいと感じることもできます。

確かに、日本でも長野県や群馬県など地方の一部では昆虫食の郷土料理は残っています。ただ、それは戦争中などの非常時での栄養補給などでの工夫による経験で得たもので、その経験によりその昆虫を受け入れることができるようになったからといって、毎日それを食べることができることとは別問題でしょう。個人の感受性の問題だと理解しています。

「面白い」、「インパクトがあって楽しい」、「チャレンジ」などという、エンターテイメント性だけでの摂食では長続きは期待できないでしょう。

以上の1.~6.までの項目以外にも気になっていることは、

・現在の飽食の日本で本当に受け入れられるのか
・捕獲の場合の農薬の影響
・昆虫が本来持っている毒成分の解明
・アレルギー問題に代表される昆虫自体に含まれる体物質や分泌物質が生体に与える影響の解明と対策
・調理方法の標準化
・毒キノコの摂食などにみられる素人判断によって起こる誤食などの防止指針

等、いろいろな問題の解決が必要だと感じます。

現実的な食行動の変容が可能であるかは、以上のような項目を達成できるかにかかっているように思われます。

まだ解明されていないことが多い中、先走った食行動による健康被害には気をつけるべきです。

 

近年話題になっている昆虫食の現状と導入する際に考えるべき事項について述べてきました。

決して否定的な見方や意見ではなく、より深く、その利点(有用性)と欠点(安全性)を考える必要があると思います。

個人的には、菜食主義、さらに肉食に厳しいヴィーガンや、食事に宗教観や哲学的な思想を持つマクロビオティック実践者の方々がどのように、昆虫食を受け入れるのかには興味があります。

タイトルの「将来の私たちの食卓に昆虫が並ぶかもしない」という現実が、そう遅くない将来やってくる予感がします。

新しい技術を受け入れるのと同様に、保守的で世界的な現実を受け入れる勇気を持つこと、食糧危機を回避するためには、新しい食材料を受け入れ、楽しむ努力も必要になってくるのかもしれませんね。

ただ、先進国では歴史が浅い昆虫食ですから、これからいろいろな情報が集められ、整理され、検証され、食の安全性が担保された上で、科学的で安心な一つの選択肢になって欲しいと思います。

《参考文献》

・Edible insects, Future prospects for food and feed security, FAO

・広がるか昆虫食=栄養たっぷり「スーパーフード」-欧州、JIJI.COM、2018/06/16

・昆虫料理研究家が語る、昆虫先進国の日本で「昆虫食」が廃れた理由、内山昭一、インタビュー

・新ビジュアル食品成分表、大修館書店

・実は持続不可能?「昆虫食」の本当の可能性とは、Eustacia Huen、ライフスタイル 2017/05/09

・欧州委員会(EC)、新食品(novel food)に係る新しい規則に係るQ&A形式のECファクトシートを公表、食品安全委員会、食品安全総合情報システム、2015/11/18

・海を知らない海水魚を養殖する、2017.10.27、https://wired.jp/waia/2017/27_toshimasa-yamamoto/「農漁」が世界の食を変える

・わが国における海産魚類養殖の現状とクロマグロの完全養殖、熊井秀水、近畿大学水産研究所

・魚類養殖魚業の経済的研究、古林栄一、京都大学

・日本人の食事摂取基準、2015年版、第一出版(株)

・新ビジュアル 食品成分表(七訂)、(株)大修館書店

血液型の判定が性格から病気に

血液型というのは?

相変わらず、血液型による占いや書籍が流行をしているようです。

血液型による占いが当たるかどうかは別にして、そもそも血液型はどのようにして決められるのでしょうか?

私たちを守る免疫の仕組み --- 抗原抗体反応とは

私たちのからだには、病原菌など外からの敵に対して身を守る防御システムが備わっています。いわゆる免疫といわれるものですね。

細菌やウイルスが体内に入ってくると、からだを守ろうとする働きがあります。

この時に働くのが抗体と呼ばれるもので、細菌やウイルスをやっつけてくれる働きをするたんぱく質の一種で免疫グロブリンと呼ばれています。

細菌やウイルスなどのように、私たちのからだとは違うもので(非自己)、抗体を生じさせるきっかけとなるものを抗原といいます。

Aという抗原がからだに入ってくると、私たちからだではAという抗体ができます。Bの抗原だと、Bの抗体ができます。つまり、対応した抵抗性(抗体)が生まれるのです。

このような抗原と抗体の反応を、抗原−抗体反応と呼んでいます。

血液型は抗原抗体反応

血液型は、ご存知のように基本的にA型、B型、O型、AB型の4種類があって、ABO式血液型分類といわれます。

これ以外にも、Rh血液型など分類の方法によって何十種類も血液型があります。

血液型とは、血液中の血球に存在する抗原、抗体の種類から抗原抗体反応によって分類された血液のタイプのことです。

ABO式血液型

一番よく知られているのが、ABO式血液型でしょう。

A型の赤血球上にはA抗原があり、B型にはB抗原、AB型にはA抗原とB抗原の両方を持っています。O型の赤血球にはA、B抗原はありません。 

A型の人は抗B抗体(B型と反応するもの)、B型の人は抗A抗体(A型と反応するもの)、O型の人は抗A抗体と抗B抗体の両方を持っています。

AB型の人は抗A、B抗体のどちらとも持ちません。

これらの抗原と抗体の反応により、赤血球の抗原と血液中の抗体が、どんな組み合わせで固まる(凝集)かを調べ、表のようにして血液型を判定します。

血液型判定.jpg

以前は、O型は全ての人へ輸血ができると見なされていましたが、ABO以外の型物質(Rh因子など)が存在することもあって、現在では緊急時を除いては通常行われていません。

したがって、輸血をする時には同じ血液型が必要になります。

また、ABO式血液型は、メンデルの遺伝法則にしたがって遺伝します。

A、B、Oの3種の遺伝子が2個ずつ組み合わさって染色体に含まれます。

つまり、遺伝子の組み合わせは、AA、AO、BB、BO、AB、OOの6通りになりますが、OはAとBに対して劣性で、AとBの間には優劣関係はないので、AAとAOはA型、BBとBOはB型、ABはAB型、OOはO型として現れます。

Rh式血液型

ちなみに、Rh式血液型は、赤血球にある抗原で、アカゲザル(rhesus monkey)の赤血球にあるものと同じためRh因子と呼びます。

赤血球に、このRh因子を持つ人をRh陽性(Rh+)、持たない人をRh陰性(Rh-)といいます。

日本人では、99.5%がRh+であることが知られています。

 

血液型と性格は関係があるかのか?

日本で血液型が性格と関係するという話をする前に、ABO式血液型の歴史をみてみましょう。

最も初期に発見された血液型分類であるABO式血液型は、1900年にウィーン大学のカール・ラントシュタイナーが報告しています。

1916年(大正5年)、ドイツに留学した原来復(はらきまた)医師が日本で最初に血液型と性格の関係についてふれた論文を発表しています。

内容的には、当時戦時下でドイツの白人が高等で黒人や黄色人種は下等であるいう根拠のない差別意識から生まれたということです。

日本で血液型ブームが起きたきっかけは、お茶の水女子大学の古川竹二教授が1927年に初めて血液型と性格を関連づける研究を行い、金沢大学医学部の古畑種基教授と長崎医科大学の浅田一教授がこの説を広く世に宣伝したことからはじまりました。

その後、このブームは過ぎ去りましたが、1970年代に能見正比古という作家が古川説を「血液型人間学」として独自にまとめてベストセラーになったことから現在に至るようです。

残念ながら、古川教授の研究は、データの収集方法に問題があり、科学としては成り立たないものであったことです。

現在では、血液型と性格、血液型占いというのは、科学的根拠のない「信仰」のようなものだと考えられています。

個人的には、好きな話題ですけど。

血液型が病気に関係する

ところが、今度は、「血液型=性格」ではなく、「血液型=病気」という話題が持ち上がっています。

2018年には、「血液型によって罹りやすい病気がわかった」とか、「O型が免疫学的に病気に強い」などの記事が見られるようになりました。

東京医科歯科大学医学部名誉教授の藤田紘一郎教授や長浜バイオ大学の永田宏教授が、民族の血液型分布には病気(感染症)が関係して、抵抗力には血液型によって違うと、また、東京大学医学部付属病院放射線科中川恵一准教授は、血液型によって病気の発症リスクが異なるというのを週刊誌の取材で述べています。

これらは、日本人の血液型が、多い順にA型が38%、O型が31%、B型が22%、AB型9%の割合で分布していることを、世界の血液型分布と比較して結論づけています

性格判断とおなじように、なにかうさん臭さを感じるのは、私だけでしょうか?

大規模な疫学的な研究が行われ、情報が蓄積されて、このような見解がでてくることは、病気を予防する上で有効でしょうが、まだ々、科学的根拠となるまでには時間がかかりそうです。

それよりも、生活習慣を改善して、気持ちよく暮らせる日々の努力の方が有意義に思えます。

 

参考文献

・血液型、ABO式血液型、Wikipedia

・人体の構造と機能、医歯薬出版株式会社

・株式会社メディック、免疫の検査、

http://www.medic-grp.co.jp/tebiki/q.html

・大阪大学大学院生命機能研究科認知脳科学研究室、2009.3.27、井上裕哉

・週刊女性PRIME、2018.7.8、血液型でわかる健康

・週刊ポスト、2018.9.21、血液型別「かかりやすい病気が」明らかに