性格から将来の病気がわかります

病気になりやすい行動パターンとは

行動パターンと疾病というと、「血液型による性格判断」などが浮かんでくる人がいるかもしれませんね。

血液型性格分類は、個人的には思い当たる節もありますが、明らかに科学としての根拠がありません。

心理学者の故大村政男先生は、大衆の血液型性格分類を信じる心理状態について、ABO型血液型の分類と性格が当たっているように感じる理由として、FBI効果(フリーサイズ効果(バーナム効果)、ブラックボックス効果(ラベリング効果)、インプリンティング効果)を上げています。思い当たりますね。

行動パターン

それに対して、遺伝的要因や養育環境から形成される特徴的性格による行動パターンは4つのグループに分類されて、疾病要因との関連性が科学的に検討されています。

1.行動パターン タイプA

2.行動パターン タイプB

3.行動パターン タイプC

4.行動パターン タイプD

ご説明してゆきますね。

 

1.行動パターン タイプA

気が短く、怒りっぽい「タイプA」は心臓病リスクが高い

行動パターンが病気の発症と初めて結び付けられたのは1959年のことです。

アメリカの医師・フリードマンが、心臓病の外来で待合室のイスの座面の前の部分の摩耗度から、攻撃的、挑戦的で、責任感の強い人ほど心臓病になりやすいのではないかと考え、このような性格・行動パターンを「タイプA( = Aggressive 積極的な、攻撃的な)」と名付けました。

行動パターン タイプA(これ以後はタイプAと省略します)は、「せっかち(機敏、性急)」、「怒りっぽい(攻撃的)」、「積極的(野心的)」、「競争心が強い(競争的)」、という特徴があり、それぞれにあてはまる人ほどタイプAが強いと考えられます。

タイプAの人は、いつも時間に追われてせかせかと行動するという特徴があります。また、常に何かと競争していて、いくつもの仕事をかかえています。

そうして、自らストレスの多い生活を好み、ストレスを多く受けているにもかかわらず、そのことをあまり自覚せずに無理を重ねた生活をする傾向があります。

タイプAの人は慢性的にストレスを受けている状況であり、これにさらにストレスが加わったときには、反応は通常よりも一層、過剰となります。

そうなるとストレスに対する反応の仕方も血圧が上がる、脈拍が増えるなど循環器系に負荷がかかりやすくなって、これが狭心症や心筋梗塞になりやすい原因と考えられています。

のんびり型のタイプBの人にくらべて心筋梗塞の発症率が約2倍高いといわれています。

日本でも、狭心症・心筋梗塞患者にはやはりタイプAが多いことが指摘され、「敵意」「攻撃性」はあまり表出されず、性急さや仕事中毒といわれるような過剰適応が日本人的なタイプAと考えられています。

虚血性心疾患(狭心症と心筋梗塞)の危険因子としては、大規模な疫学的研究によって、高血圧症、脂質異常症(特に高コレステロール血症)、喫煙、肥満、糖尿病、高尿酸血症などが明らかにされています。

精神的なストレスとタイプAが冠動脈硬化を促進する要因であり、その多くは食行動、喫煙・飲酒習慣、運動不足などの不適切な生活習慣(ライフスタイル)によるものとされています。

虚血性心疾患はまさしく生活習慣(ライフスタイル)の歪みによる病気の代表的なものといえます。

2.行動パターン タイプB

のんびりした「タイプB」は病気になりにくい

内向的でのんびりしており、目立たない性格の行動パターンを持つ人は「タイプB」と定義されています。

フリードマンとローゼンマンが発表する際、“行動パターン タイプA(=Aggressive)”と比較するために“タイプB(=not A) 行動パターン”と命名しました。

タイプBは、あくせくせずにマイペースに行動し、リラックスしていて、非攻撃的な人の性格を持ちます。あるがままを受入れて、なお穏やかに暮らせる、感情のバランスのいい人です。

循環器系の疾患、狭心症や心筋梗塞についていえば、タイプAの1/2程度といわれています。

しかし、まったくストレスを感じないわけではないので、胃腸系の病気、消化性潰瘍、過敏性腸症候群になりやすいといわれます。

3.行動パターン タイプC

我慢してしまう「タイプC」は がんになりやすい

アメリカの心理学者、リディア・テモショックらが、150人以上のがんの患者を面接した結果、共通する性格的特徴として認めたのがタイプCです。タイプCのCは、”Cancer(がん)”の頭文字Cから付けられました。

几帳面で真面目、自己犠牲的、我慢強く、物静かで周囲に気を使う、怒りを表に出さない、他人の要求を満たそうと気を遣いすぎるといった「いい人」がこのタイプの特徴です。

タイプAと一見正反対に見えますが、否定的な感情を表に出せずに押し殺すため、慢性的に過剰な適応によるストレスがたまり、ホルモン分泌や自律神経系に影響を与え、自己免疫が低下すると考えられています。

がんは様々な要因が複雑に絡み合って発症するため、性格が要因の一つとは言い切れませんが、自己免疫の低下はがんにかかるリスクを高めます。

4.行動パターン タイプD

ネガティブ思考で感情表現の苦手な「タイプD」が最も危険

「タイプD」は、「否定的な感情や考えを抱きやすい傾向(否定的感情)」と、「他者からの否認や非難などを恐れ、否定的な感情を表現できない傾向(社会的抑制)」を併せ持った性格のことです。

いうならば、物事をネガティブに考えるだけでなく、自分の考えを他人に伝えられなずにため込んでしまいがちな性格です。

英語の「Distressed personality(悲観的な性格)」の頭文字を取って付けられました。

この性格は1996年にオランダのティルブルフ大学のヨーハン・デノレット博士(精神医学)らの研究グループが、31〜79歳の心臓病など心血管疾患のある約300人を調査したところ、『タイプDの性格の人は、そうでない人に比べ、心血管疾患を患ってから全死亡リスクが4.1倍高いと』いう衝撃の結果を、世界的に有名な英医学誌『ランセット』に発表したことから知られるようになりました。

海外では近年、そんな「タイプD」と病気との関係が注目され、健康への様々な影響が研究されています。

わが国では、岡山大学の研究グループが2010年8月に、日本人に対する初の調査を行ない、さらに世界で初めて、高齢者に限定した調査を行ないました。

その結果、「タイプD」の人の割合は、実に46.3%に上りました。つまり、統計学的に日本の高齢者のおよそ2人に1人が「タイプD」の性格だったことになります。欧米と比べると約2倍になります。これから超高齢社会の時代を生きる人には要注意ですね。

タイプDの人は心血管疾患の他に、高血圧、メタボリック症候群、うつなどのリスクが高くなるといわれています。

予 防

行動パターンと関連する疾患についてご説明をしてきました。

あなたに該当するタイプはあったでしょうか?

性格が、特定の病気の要因になるということに驚かれた方もいるでしょう。

それならば、「性格を変えれば病気にならない」という結論になりそうですが、「自分の性格はどうしようもないじゃないか」という意見の方もいると思います。

性格というのは、

特徴的性格 = 遺伝的要因 + 養育環境

によるものだと考えられています。

遺伝的な要因はどうしようもないですが、特徴的な性格を形作る最大の要因は養育(生活)環境です。さらに、人間は、経験して学び、反省をして生きます。

自分の性格を見直すだけでも、よりよい方向に改める機会が持てる可能性は大きいと思います。

またそうすることによって、疾病(病気)の予防だけではなく、家庭や社会などの社会生活も変えて、「いごごちのよい場所」を手に入れられるチャンスです。

手軽にできる予防は方法は、日頃からストレスをため込まないように、ストレス解消に心がけましょう。

やけ酒、食べ過ぎ、タバコの吸いすぎはやめて、穏やかな生活習慣を身に付けましょう。

参考文献

・四訂 公衆衛生学、建帛社

・主な病気の解説、ストレス講座〜その8 〜 タイプA行動パターンと心筋梗塞、早稲田大学人間科学部教授 野村 忍

・血液型と性格の無関連性—日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠—縄田 健悟1 京都文教大学、心理学研究2014 年、doi.org/10.4992/jjpsy.85.13016

・exiteニュース、2015.11.26、あなたはどのタイプ? 性格から【将来なりやすい病気】を診断

・心疾患患者・家族のストレス、石原 俊一、ストレス科学研究 2017, 32, 10-17